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他者の価値観を受容すること-レジリエンス資源を蓄積する方法2

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師ポジティブ心理学コーチ、iEP認定MBAエグゼクティブコーチ®の松岡孝敬です。

今日も、ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。

COVID19の感染拡大第3波の終息の気配がなく、ますます勢力を拡大しているようですね。私の住む広島も、病院でのクラスターが発生し、多くの医療機関は、通常の治療活動に支障をきたす緊急事態に陥っています。

日本中、いや世界中がレジリエンスの試される逆境にさらされています。今こそ、皆様おひとりおひとりが潜在的に備えているレジリエンスを発揮し、置かれている状況をありのままにとらえて冷静に対処し、逆境をともに克服していきましょう。

結婚式場でレジリエンス向上研修!?

先日、岡山市にて、某企業のレジリエンス向上研修に登壇させていただきました。

受講者全員が女性で、自動車事故の被害者への電話対応をされる担当者のレジリエンスやモチベーション、部署全体と個々人のエンゲージメントを向上することを目的とした研修にしてほしいとのオファーを受けて進めた研修です。

研修を主催された女性管理職の方の、できるだけ非日常的な心地よい空間で研修を受講させたいとのご配慮の下、研修会場は、事務的で殺風景なセミナールームではなく、駅前にある豪華ホテルの19階のバンケットルームで行いました。

朝、会場入りすると、結婚式場に迷い込んだのかと錯覚するほど、華やかな雰囲気で研修をすることができました。高層階からの景色を眺めながらのレジリエンストレーニングは、効果が倍増しましたね。

ネガティブ思考を理由にする人

研修の中で、ある出来事を中立的事実、出来事の捉え方・解釈、感情の3つに分けるワークを行なったとき、とある受講者の女性は、「どうしてもネガティブなとらえ方しか考えられない。私はネガティブな意味しかないと思います。」という感想を漏らした方がいらっしゃいました。かなり、とらえ方が凝り固まった、認知のしなやかさが失われている方と判断しました。物事や人物の肯定的な側面を見ようとしない、意識してネガティブな側面しか見ないようにしているとも推察しました。

その方の研修後のアンケートを拝見しますと、「もともとネガティブ思考なので。」と記されていました。

つまり、この方は、ご自身のこちこちな思考スタイルの原因を、ご自身の持って生まれたネガティブ思考のせいにされているように思われます。

劣等感と劣等コンプレックス

研修を受講されたネガティブ思考の方のアンケートを読み、アドラーの劣等感劣等コンプレックスの違いを思い出しました。

アドラー心理学でいう「劣等感」とは、自分が少し劣っているなあと感じる感覚、フィーリングです。これは誰しも持っているもので、世の中に完璧な人がいないと同様に、劣等感を持っていない人はいません。

なぜなら、人は「今よりも良くなろう」、「明日は今日よりも成長しよう」と思っているからです。劣等感は、明日の自分から今日の自分を差し引いたものであり、人が目標に向かって進歩しようと生きる原動力となり得るものだからです。

劣等感は、成長に必要なフィーリングですが、劣等コンプレックスは違います。劣等コンプレックスとは、自分の劣っている性質や特徴を過剰に意識し、理由や理屈をつけて、その劣っている性質や特徴を正当化する状態を指します。「どうせ私は〇〇だから」、「私は元々〇〇だから、仕方ないのです」などとおっしゃる方がもしいらっしゃれば、その方は、劣等感を劣等コンプレックスとしてとらえている状態かもしれません。

前述したネガティブ思考の女性は、ご自身の「ネガティブ思考」な状態を劣等コンプレックスととらえ、しなやかな認知ができない言い訳にしていると推測できます。

劣等コンプレックスはライフタスクを回避する言い訳になりやすい

さて、しばらくアドラー心理学の話を続けましょう。

前回のブログで、アドラーは、「人生の中で常に直面し、対処を求められる課題」としてライフタスクという概念を唱えていることや、私たち一人一人が抱えるライフタスクは、自分自身が受け止め、最終的に自分自身が解決すべきものであり、人が自分のライフタスクを受け止め、それに直面しようとすることを、アドラーは“勇気”と表現していることを記しました。また、自分のライフタスクがあるにもかかわらず、それを直視せず、解決すべき行動を回避することを、アドラーは“自己欺瞞”といったり、「人生の嘘」と表現したりすることをお伝えしました。覚えていらっしゃいますでしょうか?

ポジティビティブログ 2020.12.07 他者と良好な関係を築くこと-レジリエンス資源を蓄える方法

劣等コンプレックスは、ライフタスクを逃れるために便利に使われます。「私は元々頭が悪いから」と言って当面必要な勉強から逃れたり、「コミュニケーション力がないから」と言って仕事で重要な報連相を怠ったり、あるいは「元々ネガティブ思考だから」と言って、周囲に他者のネガティブな噂を流したりすることがあれば、それは、その方々が、劣等コンプレックスを、ライフタスクを解決する行動から逃げている証拠になるでしょう。「人生の嘘」をついているとアドラーだったら喝破するかもしれません。

劣等感に対してどのような行動をとるかは個人によって異なる-ライフスタイル

劣等感は誰しも持つ感覚、フィーリングですが、その劣等感に対してどのような行動をとるかは個人によって異なります。劣等感に対してどのような行動を決めるのかは個人の個性であり、アドラーはその個性を「ライフスタイル」と呼んでいます。「ライフスタイル」は、個人の個性とも言い換えられるし、価値観、信念と言い換えることもできると私は思います。

アドラーは、ライフスタイルには、適切なライフスタイルと不適切なライフスタイルがあると言っています。

自分が感じた劣等感に対して、「明日の自分は劣等感を克服してもっと成長しよう」、「ライフタスクを解決しよう」と行動することを補償といい、これは適切なライフスタイルと言えるでしょう。一方で、劣等感を劣等コンプレックスとしてとらえ、「どうせ私は〇〇だから」と劣等感を克服する行動を避け、ライフタスクの解決から回避しようとする行動は、不適切なライフスタイルと言えるでしょう

他者のライフスタイル(価値観)を承認し、不適切な場合は勇気づけること

他者との良好な人間関係を築く方法として、前回のブログでは、自分のライフタスクに集中し、他人のライフタスクに深く介入しないことと記しました。

他者との良好な人間関係を築く方法には、その他に、他者のライフスタイルを、つまり他者の価値観、信念を受容し、承認することもあります。

他者の価値観や信念が、自分の価値観や信念と大きく異なっていても、社会通念上、不適切な価値観や信念であっても、他者の価値観や信念を最初から拒絶したり回避したり否定したりせず、まずは、受容し、承認することが他者との良好な信頼関係を築く第1歩になります。

よく誤解されることですが、他者の価値観や信念を受容し承認するということは、他者の価値観や信念を肯定する、賛成するという意味ではありません。「あの人は、(私と違う)ああいう価値観を持っているのね」とか、「あの人の信念は〇〇なんだね」と、肯定するのでも賛成するのでもなく、受け入れるという感じです。それは不適切なライフスタイルの場合でも同様です。

他者の価値観、ライフスタイルが、自分と異なるもの、あるいは不適切なものである場合、あからさまに拒否し、否定すれば、他者との良好な関係は築けないでしょう。

では他者の不適切なライフスタイルは、受容して何もしないのが良好な人間関係なのかというとそうではありません。前回のブログでもお話ししたように、他者が不適切なライフスタイル、つまり、劣等感を劣等コンプレックスとしてとらえて劣等感を克服するような行動を避けたり、ライフタスクを解決する行動を回避したりした場合、私たちは、無視するのではなく、適切なライフスタイルに軌道修正するよう導く、支援することはできます。それがアドラーの言う“勇気づけ”なのです。

不適切なライフスタイルをとる他者がいれば、他者との会話などのコミュニケーションを通じて、不適切なライフスタイルであることに気づかせ、そして適切なライフスタイルへの決断を支援する、導くことが信頼おける他者の行動ではないかと思います。1つの同じミッションに向けて共同行動を行う組織・企業の一部署のような共同体では、共同体にとって不適切なライフスタイルをとるメンバーがいれば、共同体全体のパフォーマンスが下がるので、なおさらそのメンバーに対して勇気づけが必要になってくるでしょう。

他者のライフタスク(人生の課題)に深く介入せず、勇気づけの範囲にとどめること。他者のライフスタイル(価値観)を受容し、不適切なライフスタイルの場合は勇気づけることが、他者との良好な人間関係を築く上で重要な方法だと思います。それが、ひいては私たちのレジリエンス資源としての他者、社会的支援を蓄える唯一の方法と考えています。

今回のブログで劣等感とライフスタイルのことに触れましたので、次回のブログでは、アドラー心理学の概念を紹介しながら、劣等感を解消した理想の目的を持つことが、レジリエンスを高めることにつながることを記したいと思います。ただし、ブログのテーマは、諸事情(多くは筆者の気まぐれ)により、変更になる場合もございます。予めご了承くださいませ。

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