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他者と良好な関係を築くこと-レジリエンス資源を蓄える方法

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師ポジティブ心理学コーチ、iEP認定MBAエグゼクティブコーチ®の松岡孝敬です。

今日も、ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。

12月に入り、巷間は師走の慌ただしい雰囲気に包まれていますね。新型コロナの第3波もメディアで連日喧伝されており、今年は、従来と違った忙しない年の瀬になりそうです。皆様、くれぐれもお身体ご自愛くださいますようお祈り申しげます。

なぜ対人関係で悩むのか?

前回のブログで、他者との対人関係は、とても重要なレジリエンス資源とお伝えしました。その点は、クリス・ピーターソンを始め、多くのポジティブ心理学者が唱えるところであり、アルフレッド・アドラーも唱えていますね。

レジリエンス研修を実施する上で、事前アンケートを取る際、現在の課題や悩みの多くは、対人関係です。上司とのコミュニケーションであったり、部下との対人関係であったり、同僚、取引先、もしくは家族との対人関係であったりします。

昨今のパンデミックの影響で、テレワーク、在宅勤務、オンラインビジネス、オンライン学習が盛んになり、人と接するコミュニケーションが希薄なりつつあり、対人関係の悩みは、ますます増えている傾向にあるようです。

では、対人関係の悩みはなぜ尽きないのでしょうか?そもそも、私たちはなぜ、対人関係に悩むのでしょうか?

すべての悩みは対人関係に収束する

個人心理学者のアドラーは、人間のすべての悩みは、実は対人関係の悩みであると説いています。

以前のブログでも少し紹介しましたが、アドラーは、「人生の中で常に直面し、対処を求められる課題」としてライフタスクという概念を唱えています。そして、アドラーは、人には重要な3つのライフタスク、仕事、交友、愛という、重要な3つのライフタスクと直面していると説いています。

この3つのライフタスクは、すべて対人関係に集約されます。すなわち、仕事のライフタスクとは、仕事での対人関係の課題であり、交友のライフタスクとは、友人・知人、地域コミュニティなどでの対人関係の課題であり、愛のライフタスクとは、家族や配偶者との対人関係の課題ということになります。これは、以前のブログにも記しました。

「私たちは何のために生きているか」と問われれば、アドラーは、「それはライフタスクを果たすため」と答えるでしょう。アドラーに言わせれば、「私たちの人生の全ては、どのような対人関係を持って人生の課題(仕事の課題、交友の課題、愛の課題)を果たし、解決していくかに収束される」ことになります。

したがって、私たちが対人関係に悩むのは、ライフタスク(人生の課題)に真摯に向き合っている状態、良好な状態と言えるかもしれません。尽きない対人関係の悩みを抱えているということは、意義ある人生を送ろうと努めている証拠と言えるのではないでしょうか?そう考えれば、対人関係の悩みを常に抱えるのも仕方ないことですよね。

では、対人関係の悩みは、なぜ生じるのでしょうか?

他者のライフタスクに過剰に介入してしまう

対人関係の悩み、人生の課題(ライフタスク)が生じてしまう原因の1つに、他者のライフタスクに過剰に介入してしまうことが挙げられます。

私たち一人一人が抱えるライフタスク(人生の課題)は、自分自身が受け止め、最終的に自分自身が解決すべきものです。人が自分のライフタスクを受け止め、それに直面しようとすることを、アドラーは“勇気”と表現しています。その逆に、自分のライフタスクがあるにもかかわらず、それを直視せず、解決すべき行動を回避することを、アドラーは“自己欺瞞”といったり、「人生の嘘」と表現したりします。

以上は自分のライフタスクへの処し方ですが、他者のライフタスクへの処し方は、それとは大きく異なります。いくらあなたが他者ととても親しい間柄であっても、他者のライフタスクを解決することはできません。それは、その人(他者)が直視し、解決すべきものなのです。

では他者の人生の課題、悩みに対して、私たちは何もしてはいけないのか?無視するのか?というとそうではなく、支援することはできます。つまり、他者に対して、ライフタスクに直面し、解決に向けた行動をするように支援し、促す行為です。アドラーは、そのような他者のライフタスクに直面するように支援する行為を“勇気づけ”と表現しています。

アドラー流の勇気づけとは、「〇〇さんとの対人関係が良好になるように努力しなさい!頑張りなさい!」のような具体性のないコミュニケーションでは決してありません。

「あなたには〇〇という強みや素晴らしい能力がありますよね。それらを○○さんとの対人関係の課題に活用してみませんか?」

「あなたの強みや能力を活用したライフタスクの解決法を考えてみませんか?」というように、他者の強みや能力に注目し、それらに敬意を払い、他者がそれらを活用してライフタスクを解決することに信頼を寄せるような言葉をかけます。

このようなコミュニケーションがアドラー流カウンセリングの原点であり、コーチングの源泉でもあるかもしれません。

ポイントは勇気づけの範囲にとどめること

他者のライフタスクは、その人(当事者)が解決すべきもので、当事者でなく、その人にとっては他者である私たちが、その人のライフタスクを解決することはできないし、ライフタスクの解決に向けて、“勇気づけ”の行為以上の介入をすべきではありません。

ところが、私たちは往々にして、他者のライフタスクに過剰な介入をしがちです。他者のライフタスクを、あたかも自分自分のライフタスクのように同化してとらえ、「私が解決してあげる!」、「私が何とかすべきなのね!」と考えてしまうことが多いです。

たとえば、子どもの交際相手に意見をいったり(子どもの愛の課題への介入)、親友のビジネスパートナーに意見をいったり(友人の仕事の課題への介入)することがありますよね。最近のホットな話題としては、高貴な雅なご息女のご婚約に対して、当事者では全く関係ない私たちを含めたメディアがとやかくコメントを寄せていることも、その女性とご婚約相手とのライフタスクに深く介入していることになります。

他者のライフタスクが、その人だけでない、周囲の人にも責任を負うような共通のライフタスクであれば、介入の是非は変わりますが、そうでなければ、他者へのライフタスクへの、“勇気づけ”以上の介入は、その人との対人関係を悪化させます。良好な対人関係を築けず、自分のライフタスクの悩みが増えてしまいます。

自分のライフタスクに集中すること。他者のライフタスクに深く介入しないこと。

他者と良好な対人関係を築くには、自分のライフタスクに集中して解決に向けて行動し(勇気を発揮し)、他者のライフタスクは、他者が解決すべきものであることと受け入れ、深く介入せず、必要とあれば(他者が求めれば)、介入ではなく勇気づけをすること、勇気づけにとどめることが大事です。

レジリエンス研修で、他者との良好な対人関係の築き方を説明する際、よく取り上げる言葉に、ゲシュタルト療法の開設者、フレデリック・パールズの「ゲシュタルトの祈り」があります。ここで紹介しましょう。

「わたしはわたしの人生を生き、あなたはあなたの人生を生きる。
わたしはあなたの期待にこたえるために生きているのではないし、あなたもわたしの期待にこたえるために生きているのではない。
私は私。あなたはあなた。
もし縁があって、私たちが互いに出会えるならそれは素晴らしいことだ。
しかし出会えないのであれば、それも仕方のないことだ」

以上のような「ゲシュタルトの祈り」に基づいて他者と接してみてはいかがでしょうか?

私たちは、自分の思考を変え、自分のライフタスクを解決することはできますが、他者の思考を変え、他者のライフタスクを解決することはできないのですから。

レジリエンス資源としての他者と良好な関係を築く方法の1つをご紹介しました。皆様、ご参考になりましたでしょうか?

対人関係の悩みが生じる原因には、他者のライフタスクに過剰に介入することの他に、他者のライフスタイル(人生における基準、価値観のような概念)を理解しないし、認めない、敬意を表さないこともあります。次回のブログでは、そのことと、それの対処法、レジリエンス資源の蓄え方を書こうと思います。ただし、ブログのテーマは、諸事情(多くは筆者の気まぐれ)により、変更になる場合もございます。予めご了承くださいませ。

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