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レジリエンス研修で重要なこと

皆様、こんにちは。

レジリエンス研修講師、ポジティブ心理学コーチ、iEP認定MBAエグゼクティブコーチ®の松岡孝敬です。

今日も、ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。

私の地元、広島の平和大通りの街路樹も、紅葉・黄葉が目立ってきました。秋が一層深まり、紅葉が美しい季節になってきましたね。

電気新聞の取材を受けました。

先日、中国電力株式会社の広島本社にて、女性管理職候補者向けのマネジメント研修に登壇させていただき、レジリエンストレーニングをベースにした女性活躍推進・マネジメント研修をさせていただきました。

昨年に引き続きの研修で、受講された女性管理職候補者の皆様、とても熱心に研修のワークに取り組んでいただき、学びの深い充実した研修となりました。

昨今のCOVID19の影響で、オンライン研修が多い中、久しぶりに集合型研修を行うことができました。各テーブルは4名掛けの島形式の座席でしたが、席は隣と飛沫防止パーテーションで仕切られており、感染防止対策は万全で実施できました。完璧な準備をされた中国電力の研修担当の社員様、受講された社員様の素晴らしいご配慮とご協力には、ただただ頭が下がり、感謝感謝でございます。

今回の研修も昨年に引き続き、業界紙である電気新聞に取り上げていただくことになり、取材を受けました。有難いことです。記事が掲載されましたら、本ブログで紹介させていただきます。参考までに昨年(2019年11月26日)の記事をアップしますので、下記、アクセスしてご参照いただければ幸いです。

電気新聞記事(2019年11月26日)

認知のしなやかさが最も重要

電気新聞の取材で、記者の方から、「レジリエンスを強化する上で、最も大事にされていることは何ですか?」といったご質問を受けました。

私は、「物事や出来事に対するとらえ方、思い込みをしなやかにすること」とお答えしました。「物事や出来事に対するとらえ方、思い込み」とは、「認知」と言います。「物事や出来事に対するとらえ方、思い込みをしなやかにすること」とは、認知をしなやかにする、すなわち、認知柔軟性を高めるということになります。

私たちは、出来事を「ありのまま」に見ていない

認知をしなやかにするためには、認知というもの、特徴を良く知る必要があります。

私たちは、自分の周りの出来事や物事を「ありのまま」に見ていると思っています。自分の目で見たこと、耳で聞いたこと、肌で感じたこと、舌で味わったこと、鼻で嗅いだことなどの知覚情報は、本人にとっては「ありのまま」のことですよね。

このような知覚情報を、「一体何だろう」と意味づけや解釈を考える段階になると、場合によっては(多くの場合)、ひとつに決まらないことがあります。これが「認知」であり、とらえ方、思考、思い込みなのです。

たとえば、下の図を見てください。これは「ルビンの壺」と呼ばれる、認知心理学では有名な図版です。

1枚の図という知覚情報は同じにもかかわらず、見方によっては「白い壺」が見えたり、「黒い二人の横顔」が見えたりします。ですが、同時に2種類のものは見えません。

次に下の写真を見てみてください。

頬杖をする女の子が写っているのはわかりますよね。では、この女の子はどのようなことを考えているでしょうか?それを推測するには、写真に写っている知覚情報を、自分なりに解釈し、認知しなければなりません。

たとえば、「女の子は、公園で、お友達と次にどんなお遊びをするか、考えている」と解釈する人もいるでしょうし、「お父さんやお母さんにちょっとしたドッキリないたずらを仕掛けていて、その結果を楽しみにしてほくそえんでいる」と解釈する人もいるでしょうし、「一緒に遊んでいる弟や妹の無邪気な遊ぶ様子を少し呆れながら、お姉さんとしておしゃまにほほえましく見つめている」と解釈する人もいるでしょう。

このように知覚情報は同じでも、認知はその人によってさまざまで、無数の認知・とらえ方・思い込みがあると思います。認知をメガネでたとえると、私たちは、それぞれ「自分用のメガネ」をかけ、それを通して出来事、物事を見ていることになります。

自分用のメガネとは信念メガネのこと

私たちは世界を「ありのまま」に見ているのではなく、必ず「自分用のメガネ」を通してみていることになります。

この「自分用のメガネ」とは、私たちそれぞれが持つ「信念」です。「価値観」、「世界観」と言い換えることもできます。

私たちは全て、「世界はこういうところだ」、「人生はこんなものだ」、「他の人たちってこういうものだ」といった、信念、世界観、価値観を持っています。このような信念が私たちの認知に大きな影響を及ぼしています。私たちは、いまば「信念」という「自分用のメガネ」、つまり「信念メガネ」で、世の中を見ているのです。

心理学者、アルフレッド・アドラーは、このことをこう表現しています。「私たちは世界の中に住んでいるが、その世界は客観的に見ているのではなく、自分の信念にしたがった意味づけに基づいてみている」と。

かのような理解(as if understanding)

私たちが自分の「信念メガネ」を通してみる世界は、本物の「ありのまま」の世界のようですが、実際は、自分が見ている、あたかも現実の世界である「かのように見ている世界」と言えます。

このことは、「かのように理解」(as if understanding)と呼ばれます。私たち一人一人がそれぞれ見る世界は、本当は違うのだけれども、あたかもそうであるかのように、現実のように思わせ、「かのように理解」してしまう世界なのです。

なんだか、映画「マトリックス」の世界を想像してしまいますが、そのイメージは当たらずとも遠からずで、私たちの脳には、「かのように理解」している、ありのままではない世界が展開していることになります。

私たちが、たとえば、とある人物を敵だと思えば、それが現実となり、その人が自分の悪口を言っているという噂を人づてに聞くと、それが噂であってもその人が自分に悪口を言っているというバイアスがかかり、ますますその人を敵視していまいます。その逆もしかりで、とある人物を信頼おけるとても良い人間だと思えば、交流を持ち、さらに分かり合って信頼感が増し、さらに良好な人間関係が築かれることがあります。出来事に対しても、ある出来事を悲劇的で否定的な出来事と考えれば、そこからさらに悲しくて辛い小さな出来事だけを思い返し、ネガティブな感情や行動をとりがちなりますし、ある出来事を楽観的で肯定的なものとしてとらえれば、希望に溢れるポジティブな感情が芽ばえ、積極的な行動を起こすことにもなります。

アドラーは、著書『人生の意味の心理学』の中で、「意味は状況によって決定されるのではない。われわれが状況に与える意味によって、自らを決定するのである」と書いています。

つまり、私たちを取り巻く出来事・物事・人物像には、本来、何の意味はありません。「ありのまま」の世界は、否定も肯定もなく、悲観も楽観もないフラットなものなのです。それに何らかの意味づけが生じるのは、人それぞれがもつ「信念メガネ」であり、それによって「ありのまま」なフラットな世界が、否定的なものになったり肯定的なものになったり、悲観的なものになったり楽観的なものになったりするということをアドラーは説いているのです。

レジリエンス強化の第1歩は、自分の「信念メガネ」に気づくこと。そして、しなやかにいろいろな「信念メガネ」を持つこと

私たち一人一人が持つ「信念メガネ」は、長い年月の間に培ったもので、私たちはなかなか「信念メガネ」を取り換えるようとはしません。どころか、その「信念メガネ」の存在さえも発見できず、「信念メガネ」の影響で出来事・物事・人物を評価しているとも気づかず、他者の「信念メガネ」も自分の「信念メガネ」と同じでなければならないと考える場合があります。

普段は感じないレジリエンスというメンタル力を発揮する場面があるとすれば、それは逆境や試練、過度なストレス、トラウマを感じる状況になります。そのような状況で、頑なに自分の「信念メガネ」だけで状況を判断し、他の「信念メガネ」に取り換えて試そうとしなければ、なかなか状況を克服して再起できないようになります。自分の「信念メガネ」への固執は、多くの場合、ストレスのコントロールや逆境・試練からの再起の妨げになるでしょう。

前述した、レジリエンスの強化に重要な、「認知のしなやかさ」、「認知柔軟性」とは、自分の「信念メガネ」に気づき、それを大事にしつつも、ときには他の「信念メガネ」に取り換えて世界を見て認知したり、他者の「信念メガネ」を尊重したりすることと言えます。私のレジリエンス研修においては、時間をかけて、さまざまな「信念メガネ」の存在に気づかせるワークを丁寧に行うことを心がけています。

ご愛読の読者の皆様、ご自身の「信念メガネ」に気づいていますか?たまには他の「信念メガネ」に取り換えて世界を見てみませんか?

次回のブログもレジリエンスを強化する方法について、記したいと思います。

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